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黒崎 譲*; 横山 啓一
no journal, ,
塩化リチウム分子を例として、同位体選択的振動回転励起の最適制御計算を実行した。特定の同位体分子にのみ所定の振動回転励起を起こさせるレーザー電場を最適設計した。振動だけでなく回転もあらわに取り入れた計算を行った。結果として短時間にもかかわらず高い収率で同位体選択的振動回転励起を起こすことが可能なレーザー波形が存在することが明らかになった。
城戸 健太朗
no journal, ,
QM/MM型の溶液内モデルを採用し、自由エネルギーなどの熱力学量に基づきながら化学的挙動を記述することは依然として容易でなく、溶媒の分子論的描像を保持し、尚かつコストの低い枠組みを構築する努力が続けられている。これを実現する有望な方法の一つは、多数の分子から成る溶媒を平均場として取り合うことであるが、MO計算と溶媒が作る平均場との間で溶媒の応答関数が自己無撞着になるまで計算を反復しなければならない。これが計算時間を増大させる要因になっている。一次元の溶媒和理論とMO計算を結合したRISM-SCF-SEDD法では、QM領域に及ぼす溶媒の応答を線形と仮定し、繰り返し計算を経由せずにFock演算子の溶媒和項を評価する方法が考案され、その仮定が良好に成立することが示されている。本研究では、3次元溶媒和理論とMO計算の組み合わせ(MC-MOZ-SCF法)を用いて、この枠組みを3次元に拡張するとともに、複雑な3次元溶媒和においてその線形応答近似がどの程度成立するかについても議論する。
日下 良二; 渡邉 雅之
no journal, ,
溶媒抽出法はランタノイドの極めて重要な分離・精製法である。抽出に一般的に使用されるジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)のような抽出剤は、両親媒性で界面活性であるため、溶媒抽出の際に有機相/水相の界面に集まる。したがって、有機相/水相界面は抽出剤との錯形成反応や有機相への移行反応が起こる重要な反応場である。しかしながら、実験的な困難さから、これまで溶媒抽出の際に界面で何が起こっているのかについての詳細は分かっていない。本研究では、ヘテロダイン検出振動和周波発生(HD-VSFG)分光法という二次の非線形振動分光法を用いることによって、HDEHP単分子膜/水界面において形成したHDEHPと三価のユウロピウム(Eu)錯体の構造を調べた。その結果、界面でEuはHDEHPだけでなく水分子に配位された構造の錯体を形成していることを示した。この結果は、Euの溶媒抽出において、界面に到達したEuは、抽出剤と水に配位されたような特殊な構造の錯体を形成した後に、有機相に抽出されてゆく、という溶媒抽出機構を示唆している。